村上正邦の不惜身命その140

ありがとうございます

・台湾総統選 蔡英文さんの圧勝を祝す

 台湾の総統選挙で、民進党の蔡英文主席が、国民党などの候補に大差をつけて当選しました。蔡英文さんに、心からの祝意を表したいと思います。
 年初以来、イスラム国によるテロの頻発、イラン・サウジの国交断絶、世界的な株安など憂慮すべき事件が相次ぎましたが、台湾総統選での蔡英文さんの圧勝はこうした暗い気持ちを吹き飛ばす快挙でした。
 蔡さんの圧勝は、台湾が民主主義国家として成熟したこと、国民が民主主義のルールに従って自らの意思を明確に示したことを世界に明らかにしたのです。

 蔡さんは4年前の総統選で国民党の馬英九総統に残念ながら惜敗しました。この総統選で蔡さんは激しい選挙戦を戦っておられましたが、私は台北市郊外で行われた蔡さんの決起集会に駆け付け、激励したことを思い出します。この時、蔡さんが私を壇上に招きよせ、集会に集まった大勢の支持者に紹介して下さったことを思い出します。敗北した蔡さんは、「泣いてもいい。でも落ち込まないで」と呼びかけました。
 今回は勝利を祝う支持者に向って「目の中に涙が残っているなら、さあ拭いて。台湾新時代の始まりを迎えよう」と宣言したそうです。私はこの蔡さんの言葉に感動を覚えました。5月20日には新政権が誕生しますが、そこで蔡英文総統が世界に向けて何を語るのか、私は大いに期待しています。

 国民党政権は昨年、上海で馬英九総統が習近平国家主席と首脳会談を行うなど、中国に対し急接近し、経済的には過度な中国依存が問題になっていました。一方、台湾国内では貧富の格差が急速に拡大し、社会不安も徐々に醸成されつつあります。近年になって、「台湾人」の意識を高めつつある学生を中心とする若者が、国民党政権に対する批判を強めてきました。その象徴が昨年の学生による国会占拠でした。マスコミでは「ひまわり革命」と呼ばれましたが、この学生たちの対中独立の激しい行動は、いわば、台湾国民全体の声でもあったのです。
 
 台湾は確実に変化しつつあります。第2次大戦後に共産党との内戦に敗れた蒋介石が大陸から台湾に逃亡して、ここを占拠し、国民党による支配が続いてきました。

 しかし、蒋経国総統が死去、李登輝が総統になって、台湾は大きく変化したのです。その後、民進党の陳水扁が総統に就任したころから、国民の意識は確実に変わってきました。自らを「中国人」ではなく、「台湾人」だと考える国民が過半数を占めるに至ったのです。今回の総統選で蔡英文さんが圧勝し、立法院選でも対中独立路線を掲げる民進党が過半数を上回る68議席を獲得したのは、こうした背景があったのです。
こうして台湾では国民の声が確実に国政に反映されたわけですが、一方、中国共産党は蔡英文新総統の独立志向に厳しい目を向けています。中国は「馬政権時代には封印してきた台湾との“外交戦”を再開する」としています。外交戦とは、台湾が外交関係を持つ中米・太平洋・アフリカ諸国など20以上の国々に、チャイナマネーをチラつかせ、台湾との国交断絶を迫るという、「韓非子」そのものの外交戦術です。台湾はもちろんのこと、私たち日本もこうした強圧的、かつ巧妙な中国外交には警戒の目を疎かにしてはなりません。

 安倍総理は、参議院の予算委員会で、「自由な言論の上に、選挙によってリーダーを決める総統選挙は、台湾の自由と民主主義の証しだ」と、蔡さんの当選を歓迎していますが、単なる美辞麗句に止まってはなりません。国際社会のなかで台湾が台湾として存在することは、歴史的にも、経済的にも、安全保障上も、日本にとって極めて重要なのです。安倍総理には、言葉だけではなく、実際の行動で台湾との連携を積極的に進めて頂きたい。

 私と台湾の関りはかなり古いのですが、印象に残っているのは我が国の新幹線技術を輸出することに成功した台湾新幹線です。台湾新幹線に関しては、フランス・ドイツによる欧州連合と、新幹線技術を輸出したいと考える我が国が契約獲得をめぐって交渉していましたが、その交渉が熾烈を極めている最中、李登輝さんから国際電話があり、私に助力を求めてこられました。早速、台湾を訪問した私は、その後、積極的にこの問題に関り、結局は最高の技術を誇る日本連合が契約を獲得しました。ここに至るまで、私も些かの力を尽くしたことを、心ひそかに誇りにしています。
 
 その後、民進党が政権を獲得した2000年の総統選の時に台湾を訪ねた私は、選挙に勝利した直後の陳水扁さんにお会いし、我が国の台湾への要望を伝え、2人でかなり厳しい議論をしたことを思い出します。その後、私は冤罪で逮捕されましたが、陳水扁総統は私の無罪を信じ、多数の閣僚の反対を押し切って、私との会談に応じてくれました。当初20分だった会談時間を大幅に延長し、総統執務室で1時間以上にもわたって日台問題を論じました。

 最後に陳水扁総統が仰った言葉は今も私の脳裏に刻まれています。「村上先生、私は法律の専門家です。貴方の事件は全くの冤罪、村上先生は無罪です」
 
 実はこの時、李登輝さんにお会いしたいと面談を申し入れたのですが、多忙を理由に断られたことは実に残念です。当時、私は仮釈放の身であり、当局にお願いし了承を得た上で、台湾を訪問したのは、親しくしていた李登輝さんに心配をかけているのではないかと考え、お会いして話をするのが主目的でした。その後、李登輝さんは10年程前に日本を訪れ、念願だった奥の細道を旅行されたと聞きました。そのことを知った私は、李登輝さんが熟達した国家指導者として、じっくり対中国外交を中心に日本の政治家と膝を交えて率直な議論をしてほしかったと思います。李登輝さんはその後も度々来日されて、新渡戸稲造や武士道について講演しておられましたが、それ以前に人間として為すべきことがあるのではないか、と私は思うのです。その後、李登輝さんからは何の連絡もありません。実に残念至極のことです。

 さて、台湾と日本の問題に戻ります。
 私たち日本人の大半は、中国と台湾は本来1つのものであり、「1つの中国」だと考えているようです。我が国は日中正常化以来、この「1つの中国」という原則を遵守しています。しかし、これは間違いです。台湾人は台湾人であり、中国人ではありません。台湾はあくまでも台湾人の台湾であって、決して中国に一部ではないのです。
 
 できれば5月の総統就任までに台湾を訪ね、総統選で圧勝した蔡英文さんにお会いし、祝意を表したいと考えています。その時に、台湾問題をこのブログで詳しく論じたいと考えています。

 ● 安倍総理はもっと堂々と構えよ。国会で感情的になるのはみっともない
 

 1月12日の衆院予算委員会で、安倍総理は拉致問題に関する野党質問に対し、実に感情的な答弁をして、激しい怒りをみせたことが報じられました。
 民主党議員が、蓮池透さんの近著を取り上げ、「総理は拉致を使ってのし上がったのではないか」などと質問したことに対して、総理は激しい反応を示しました。総理は、拉致問題をめぐる自身の発言について、「真実だ。バッジをかける。言っていることが違っていたら国会議員を辞める」とまで言ったというのです。
 
 このときの質疑をみますと、民主党議員の質問はいささか礼を失した面があることは否めません。しかしながら、議会の場において野党から挑発的な質問が出ることはしばしばあることです。いちいち、「バッジをかける」「違っていたら国会議員を辞める」と答弁されたことに、私は疑念を抱かざるを得ませんでした。
 
 こうした野党からの厳しい質問の背景には、国民が安倍政権に期待した拉致問題の進展が全く見られないこと、拉致被害者の帰国がいっこうに実現していないことがあります。国会で野党の一議員の質問に大げさに反駁するより、拉致解決に向けて心血を注いでいただきたい。
 
 北朝鮮は四度目の核実験を行いました。世界中を敵に回しても核武装する意志を見せています。とんでもない暴挙ですが、北朝鮮はそれだけ度胸がすわっているのです。一筋縄ではいかない相手だということです。
 北に核を放棄させ、拉致被害者全員の帰国を実現させる。安倍総理は、もう少し北朝鮮を研究し、腹をすえてかからないといけない。自ら望んで総理の座にあるあなた自身がしっかりしなければ、問題は解決しないのです。議会における批判に、いちいち感情的に反応するようでは、北朝鮮から舐められるばかりです。総理は、重い責任を負っていることを、今以上に自覚してもらいたいと思います。

● 甘利TPP担当大臣の不祥事にモノ申す

 先日「週刊文春」で、甘利TPP担当大臣の金銭授受疑惑が報道され、順調に政権運営を進めていた安倍政権の行方は俄かに雲行きが怪しくなってきたようです。

 週刊誌の記事によれば、千葉県の建設会社と都市再生機構(UR)との間に生じた補償交渉の口利きの見返りに、建設会社側から甘利氏側に計1200万円の現金授与や飲食接待があったとされています。甘利氏本人にも大臣室で計100万円が手渡されたとのことです。事実ならあっせん利得罪に抵触する犯罪です。
 甘利氏はTPP担当大臣として2月4日にニュージーランドで行われるTPPの署名式に出席する予定とのことですが、しっかりとした説明責任を果たさぬままの出席は断固許されるものではありません。疑惑が明らかになれば、当然、安倍総理の任命責任も俎上に載せ、議論すべきでしょう。

 安倍政権は3年目に入りましたが、この3年間で国民世論を二分する問題を多数を背景に強引に推し進めてきました。安倍総理の国会での答弁を聞いていると、質問者の聞いている肝心な点には答えず、論点を逸らして、反論のためにする反論や、自らの信念を語ることが多いようです。時に感情的とも思えるような威高々な態度は慎むべきだと思います

 こうした権力の驕りが不祥事を招く温床になっているとも考えられます。考えてみれば、TPPは公約違反であることは明らかであり、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認も国民が十分に納得できる議論が深まらぬまま強引に成立させてきました。
 甘利大臣への金銭授受疑惑が明らかになった今、安倍総理は自らの政権運営に強引な所がなかったのか、傲慢になり過ぎた傾向がなかったのか、深く考えるべきではないでしょうか。                                        

 合掌

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