村上正邦の不惜身命その124

 参議院の自殺行為を憂う

・ 伊吹元衆議院議長の卓見

 ありがとうございます。

 政府与党は、通常国会の会期を九月二十七日まで、戦後最長になる九十五日間もの会期延長をきめました。
 この大幅な会期延長は、安倍総理が安全保障関連法案を今国会で何としても成立させなければならないという強い思いが背景にあったと推測します。九十五日間延長すれば、仮に参議院で審議が紛糾して議決が行われなくても、参議院への送付から六十日を経れば、衆議院が三分の二以上の賛成多数により法案を再可決できるという、憲法第五十九条の規定を使えるようになります。

 元衆議院議長の伊吹文明さんが、自民党二階派(志帥会)の総会で、今回の会期延長について「参院議員会長は『参院の自主性を何だと考えているのか』と怒りを発しないといけない」と述べられたことが、六月二十六日付の産経新聞朝刊で報じられていました。
 
 伊吹さんと私は、ともに志帥会の会長を務めた縁があり、政治が大きく動くたびに意見を交わし、伊吹さんの筋を通す考え方や高い見識に敬意を表しています。
 伊吹さんが指摘される通りです。衆議院による再可決を前提とした会期延長を許しては、参議院は不要だということを自ら認めることになってしまうではありませんか。

 いくら憲法に規定があるとはいえ、あくまで緊急のためのものです。最初から衆議院再議決という「六十日規定」を想定した延長を許すなど、信じられません。参議院議員の矜持を持てと声を大にして言いたいのであります。このまま行くと、ますます参議院の弱体化が進むでしょう。
法案に対する参議院の賛否の重要性について、安倍政権はなんと心得ているのでしょうか。

 そもそも、衆議院はもとより参議院においても自民党、公明党の与党は過半数の議席を国民から頂戴しているのです。自信をもって国会運営に当たったらよろしい。参議院自民党はいったいなにを恐れているのでしょうか。

・溝手参議院自民党議員会長に猛省を促す

 たとえ内閣や衆議院側の諸君が、再可決が念頭にあったとしても、参議院自民党議員会長である溝手さんら参議院執行部は九十五日間などという大幅な会期延長に応ずるべきではありませんでした。

「私たち参議院はプライドを持っている。責任をもって法案を成立させるから心配するな。衆議院の諸君こそちゃんと審議をして、しかるべき時に採決してこちらへ送付せよ」と堂々と言えばよかったのです。
 こうした発言のできる場は、自民党役員会をはじめ、いくらでもあったはずです。それが言えないようでは、参議院はまさに死に体ではありませんか。

 再可決を安易に振りかざすような政治が続けば、「参議院無用論」が高まるばかりです。二院制であればこそ、重層的かつ深みのある論戦が展開できるのです。そのような論戦を踏まえてこそ、賢明な政治判断に到達することができると私は信じています。

 参議院自民党において責任ある地位を占めている諸君が、議会運営に責任を持てないようであれば、与党が過半数を占めている意味がありません。
国家国民の安全・安寧にとって最も重要な安全保障関連法案である以上、参議院の存在そのものを否定するような国会運営の在り方は断じて許してはならないと思うのです。
 安倍総理をはじめ内閣、衆議院側の諸君についても同じであります。猛省を促したい。

 会期延長はすでに決しました。安保関連法案の行方がどのようなものになるか予断は許しません。しかし、国民がいま最も関心を持ち、しかも、政府側の説明が不十分で、国民から十分な理解を得ないまま、「再可決」をするような拙劣な国会運営は決してすべきではありません。それが、憲法にもとづく二院制の本来の在り方であり、日本の議会制民主主義、憲政を生かす道であると思うのです。
 
 もし、再可決しか選択肢がないような状況に追い込まれたとしたら、安倍総理は、たとえ米国に今国会成立を約束していたとしても、潔く安保関連法案の今国会成立は諦め、秋の臨時国会において捲土重来を期せばよろしい。
 だいたい、再可決に追い込まれるような稚拙な国会運営しかできない政権であれば、安全保障関連法制など使いこなせるはずがないではありませんか。

 最後に申し上げたい。参議院議員の皆さん、衆議院に法案を再可決されるようなことは、院としての自殺行為に等しいのです。このことを肝に銘じ、議会活動に邁進するよう願うものであります。

 合掌
  

   

  
● 「座る会」ご案内 

  毎週金曜日12時30分より30分間、谷中の全生庵よりご指導いただき赤坂日枝神社に於いて「座る会」をおこなっております。
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左記の日程にて行いますので、ご参禅いただける方は恐縮に存じますがご連絡をお願い申し上げます。
              
         
          記

座 長 ― 下村博文文部科学大臣

日 時 ― 毎週金曜日
      午後12時30分より1時まで30分間

場 所 ― 赤坂日枝神社 末社 

連絡先 ― 電  話: 03 - 3500 - 2200
      FAX : 03 - 3500 - 2206

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