村上正邦の不惜身命その155 

 ありがとうございます。

 8月末に迷走台風十号が東北地方に上陸、甚大な被害をもたらしました。その後も次々に台風が日本列島を襲い、この長雨と異常気象の影響でまだ稲刈りが行われていないところもあるようです。
 
 いつもなら「天高く馬肥える秋」で素晴らしい秋天を望める季節なのですが、連日のぐずついた天気にウンザリしておられることでしょう。
 
こうしたなか、26日に臨時国会が召集され、安倍総理は所信表明演説を行い、成長戦略の要としているTPP承認案件と関連法案の成立に全力を挙げる考えを明確に表明しました。この他、天皇陛下の生前退位、北方領土返還、10兆円にも上るGPIFの損失問題など様々な問題が山積しています。年末まで激しい論戦が行われることになるでしょうが、私も目を凝らして問題を注視し、このブログで私なりの意見を述べてまいるつもりです。

 今回は俄かに問題が浮上した豊洲新市場問題を取り上げて、私の所見を申し上げたい。

● 石原慎太郎さん!豊洲新市場問題で築地市場からの移転の経緯を明確に説明すると同時に責任を明らかにすべきです。

 
 東京都知事選で小池百合子さんが当選した途端、にわかに豊洲新市場の問題が明らかになりました。
 そもそも老朽化した築地市場の建直し問題は鈴木俊一都知事時代から始まり、当初は築地市場を移転せずに現地で再整備する方向で議論が進んでいました。しかし、財政難などの理由で再整備計画は頓挫したようです。

 その後、青島幸男知事時代を経て、石原慎太郎知事の時代になって「狭い、汚い、危ない」という理由で、急遽、築地から豊洲への移転が決まりました。
 
 豊洲新市場はもともと東京ガスの敷地で、昭和31年から63年まで都市ガスの製造が行われてました。2008年に行われた土壌調査の結果、発がん物質のベンゼンが環境基準の最大4万3千倍も検出されました。この他、シアン化合物・ヒ素・鉛・六価クロム・カドミウムなども検出されました。豊洲は有害化学物質に汚染された土地、「食の安全」という観点から見れば、到底、築地に変わり得る新市場を作る場所ではなかったのです。

 しかし、この汚染調査の2カ月後、専門家会議は汚染土壌を環境基準以下に処理したうえで、地下2メートルの土壌を入れ替え、2.5m盛り土する対策を講じるよう報告書を提出しました。この「盛り土」は東京都が858億円もかけた汚染対策の根幹でした。

 その汚染対策の根幹が行われていなかったのです。
 この重大な事実が発覚したのが、なんと今年の9月、小池新都知事が誕生した直後でした。
 それまで東京都も都議会もこの事実を「知らなかった」と言うのですから、開いた口が塞がりません。これは都民、いや国民を欺く詐欺行為ではないか!私は唖然としました。

 こうして世上騒然とするなかで、東京都議会が開かれ、小池新知事の所信表明演説が行われました。

 小池知事はその冒頭で豊洲問題を取り上げ、「誰が、いつ、どこで、何を決めたのか。何を隠したのか。その原因を探求する義務が私たちにはある」と述べていました。私は思わず、「その通り!」と快哉を叫びました。

 この豊洲新市場問題に加え、四年後の東京五輪の新国立競技場等に巨額の建設費が投入されようとしている問題など、私たちが見逃すことのできない重大問題があります。税収が減少しつつあるにもかかわらず、湯水のように税金を使っている状況を見て、この「伏魔殿」に徹底的にメスを入れるべきだと思います。

 豊洲新市場にはこの「盛り土」以外にも、多くの問題が指摘されています。
 鮮魚や青果を扱う二階部分の床が、鮮魚を載せて運ぶ「ターレ―」という運搬車の重量に耐えられず、崩落の危険性があるというのです。床の荷重限度は一平米当り700kgだそうですが、このターレ―は満載時には2トンもの重量があるそうですから、床の崩落は確実です。
加えて、市場の床掃除に海水を使用してはならぬ、「床が傷む」との御達しが出ているとのこと。魚を真水で洗えば生臭く、ハエやボウフラが大量派生するのは目に見えています。しかも、水道料金がバカになりません。

 最大の問題は豊洲市場で割り当てられた店舗ではマグロが切れないという笑えない話があります。築地の魚屋は間口が最低で3mないとマグロを搬入すらできないそうです。新市場の間口は1.4mですから、マグロの搬入はもちろん、切ることすら出来ないという御粗末な設計なのだと、市場関係者が泣いていると聞きます。

 極めつけは、5,900億円にも上る建設費用です。ちなみに東京五輪の新国立競技場は1,500億円、東京スカイツリーは650億円。豊洲新市場の巨額の建設費用は群を抜いています。この費用、いったい誰が負担するのでしょうか。もちろん、東京都民です。東京都民はこの問題を単なるスキャンダル視することなく、自らの払った税金の行方をしっかりと ウオッチングする必要があると思います。

 東京五輪に言及したので、この際、東京五輪についても申し上げたい。
 4年後の東京五輪開催に関る必要経費はいまだはっきりしていませんが、2兆円とも、3兆円とも言われています。しかし、その数字の根拠は不透明です。

 実はIOCは10年以上前に、五輪開催に関しては既設の施設を活用すべきだとの方針を打ち出しているのです。五輪開催に、目の眩むような巨額に費用がかかるとすれば、新興国での開催が不可能になるからです。

 このように東京都が関っている東京五輪や豊洲新市場問題がいま、国民の関心事になっていますが、実はこの外にも東京都が関わっている重要な問題があるのです。
 
 それは、都立広尾病院の移転に関る疑惑です。
 この広尾病院の移転に関しても巨額の建設資金が不透明なまま拠出されようとしています。広尾病院が老朽化したとの理由で、急遽、青山の「こどもの城」跡地に移転することになりましたが、この移転問題も経緯や巨額の建設費用が不透明なまま実行に移されようとしています。
 
 小池知事は就任直後のことですが、こうした疑惑が噴出する問題にも大胆に切り込んで、都民・国民の納得ゆく解決策を提示していただきたい。
新都知事に期待するところ大です。

 さて、本題の豊洲市場の問題に戻りましょう。
 連日、新聞やテレビ、週刊誌でこの問題が報じられていますが、問題の疑惑は、私の長年の友人である石原元都知事時代に端を発していることが明らかになってきました。
 
 当初、石原さんは「騙された。都の役人は腐っている。都庁は伏魔殿だ」と語っていました。しかし、徐々に問題点が明らかになってくると、そのあとで自らの発言を訂正し、「在任中の件で皆様に多大な混乱や御懸念を生じさせるなどしておりまして、誠に申し訳なく思っております」と、謝罪する文書を発表しました。石原さんは、今後、聞き取り調査などに「全面的に協力する」と述べています。
 
 しかし、私はひどく驚きました。ここまで発言がぶれるのは、石原さんらしからぬことです。石原さんは、浜渦武生元副知事をはじめ、豊洲移転に深く関わったとされる関係者にも声をかけ、自らがきちんとした説明をしなければなりません。それが都政を預かった者の務めです。筋を通せなくなったら、おしまいです。私は、石原さんが筋を通すことを願ってやみません。それが、豊洲問題を早く解決することにもつながります。

 「聞いていない」、「知らない」で、丸く収めるために根回しをし、馴れ合いの、植木等の「無責任男」のようでは都民が納得しないでしょう。小池知事の言うとおりだと思います。


● この際、地方議会の在り方を徹底的に見直すべきです。


 私はこれまでも、地方議会の在り方に大いなる疑問を呈してきました。
 
 東京都の年間予算は13兆円もの巨額に上ります。インドネシアの国家予算に匹敵する巨大な規模です。
 しかし、今回の豊洲市場問題が象徴しているように、都議会はこの予算のチェック機能を全く果たしていないことが明らかになりました。都議会議員は年間1,500万円強の歳費に加え、年間720万円の政務調査費を受け取っていますが、議員として報酬に見合う仕事をしていないことが、今回はっきりしました。住民の地方議会への不信が高まるのは当然です。

 富山市議会の市議が政務調査費を詐取するなどの不祥事が報じられていますが、これは 富山市議会だけでなく、全国の地方議会で行われていると私は見ています。東京都議会も例外ではないと推測します。

 少子高齢化で税収が逓減するなかで、特権に胡坐をかいている地方議会の在り方に徹底してメスを入れる必要があります。特に政令指定都市などは国会議員、県会議員、市会議員と屋上屋を重ねるように議員が存在し、しかも十分にその役割をはたしていないのです。

 この際、地方自治の在り方を根本的に見直す必要があるのではないでしょうか。

 戦前の知事は旧内務省から派遣された官僚が知事職に就いていました。敗戦後、俄かにGHQ主導で地域住民の選挙による民選知事が誕生し、地方自治が育ち始めていました。

 しかし近年になって、旧内務省の流れを汲む自治省出身の官僚が副知事として赴任し、それを自民党が知事選候補者として推薦するという傾向が強まりました。その結果、全国の知事の大半が、自治相出身者で占められるようになってしまいました。

 つまり、形だけは地域住民による選挙で知事が選出されていますが、実質的には自治省の天下り知事が地方を支配することになってしまったのです。
 こうした地方自治の在り方を根本的に見直すべき時期にきていると私は考えます。


● 安倍首相や二階幹事長は、衆院東京10区の補欠選挙問題にキチンと筋を通して対応していただきたい。


 自民党は10月23日投開票の衆院東京10区補欠選挙の党公認候補に公募で、若狭勝衆院議員(比例代表東京)をあてることを決定しました。これは小池都知事の衆院議員失職に伴う補選です。

 若狭さんは、都知事選で自民党推薦候補の増田寛也さんではなく、小池さんを応援しました。都知事選で小池さんが当選した直後、二階幹事長は党本部に若狭さんを呼び、党の方針に反した行動をとったことに対して「厳重注意」の処分を伝えました。この時、二階幹事長は若狭さんから「今後は党勢拡大に努める」との文書に若狭さんのサインを求めたようです。

 政治的に私も、若狭さんが厳重注意の処分を受け入れたこともあり、二階執行部が公認候補に選んだことは理解できます。
 そのうえで申し上げたいのは、それでもまだ筋が通った処置がなされていない点があるのです。その第一は、自民党東京都連が、都知事選で小池さんを応援した豊島区議5人と練馬区議2人の併せて7人に対して、離党勧告を出していることです。

 小池さんを応援した衆院議員の若狭さんは厳重注意処分で済ませ、補選で党の公認候補にする一方、豊島・練馬の区議会議員の諸君は離党勧告。これが都民、国民に広く知られることになったとすれば、どうなるでしょう。誰しもが、自民党が首尾一貫していないと感じると思います。
 
 「今回の措置は、ダブルスタンダードだ」との批判があります。当然のことでしょう。二階幹事長には、目の前の補選だけに捉われることなく、「天下国家」という大きな視野で問題を処理していただきたい。

 二階さんは党の幹事長として、都連と話し合い、また小池さんを支援した区議諸君の思いも受け止め、自民党を筋の通った政党に正さなければならないと思います。「大人の判断」と「筋の通った行動」は決して矛盾しないのです。二階さんはそれができる政治家だと信じています。

 連絡を受け、駆けつけた時には既に棺の人でした。私の同級生(大学総長)、84歳の逝去にあたり、次の二句をおくりました。


 親友 藤渡辰信君におくる

秋雨や棺に向かいバカヤロウ

秋の虹あたかも君のあるごとし


合掌       

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