村上正邦の不惜身命その151

● 二階幹事長に期待する

 ありがとうございます。
 参院選で単独過半数を獲得した安倍総理は、第三次安倍再改造内閣を発足させ、自民党の新執行部を決める人事を行いました。
 
 党の要である幹事長には私の友人である二階俊博さんが就任されました。二階さんは自民党の議員集団「志帥会」の会長です。この志帥会は縁あって私が初代会長を務めたことがあり、二階さんが幹事長に就任されたことを心から喜んでいます。多難な課題を抱える世界史的大転換期にあって、安倍政権を支える自民党の責任者として、日本国の将来のため大いに活躍されることを期待しています。
 
 谷垣禎一前幹事長が都知事選告示の直後に、自転車で転倒し、入院したと報じられました。安倍総理が当初、谷垣さんの幹事長続投を考えていたのは明らかでした。しかし、私は「谷垣さんが幹事長を務められないような怪我であるならば、次の幹事長は二階さんしかいないだろう」と直観しました。二階さんにお会いした時、私は政務を通じて政権を支えるには、むしろ積極的に幹事長ポストを狙うべきだとも申し上げました。「なぜならば、安倍総理はあなたが幹事長に適任だと考えているはずだから。その時には快く受けるべきだと思うよ」と話したのです。

 谷垣さんは、自民党の野党時代に党総裁として党政回復に尽力されました。谷垣さんの一日も早いご回復を心からお祈りします。
 今の自民党内には、二階さんほど政治的判断が的確で、しかも仕事が速く、的確にできる人はいないでしょう。安倍総理自身、再改造後の記者会見で「二階俊博幹事長は百戦錬磨、自民党において最も政治的技術を持った方、リーダーシップを果たしていただきたい」と述べていましたが、その通りだと思います。

 安倍総理や大方の人々は、二階さんが天下を狙うことはないだろうと考えているでしょう。二階さん自身も、安倍総理を支えるため、幹事長の職に全力投球しようと決意されていることと思います。だからこそ、今回の再改造人事では、二階さんが率いる志帥会からは、今村雅弘、鶴保庸介の両氏が入閣を果たしたのだと思います。

 二階さん本人は組閣翌日の二階派の会合で「政治で一番難しいのはジェラシーだ」と言ったと新聞が伝えています。
 「その通り!」と、私は思わず膝を打ちました。政治、政界は「一寸先は闇」とはよく言ったものです。慢心は禁物です。私自身、現役時代を振り返って、しみじみと思うこと多々あります。
 二階さんには思わぬところから、水が漏れぬよう、重々自戒しつつ、しかし果敢に政策実現の手を打っていただきたいと思います。

 「だが、しかし…」と、私は敢えて申し上げたい。
 政治家たるもの、有権者の夢と思いを託されて国政壇上に登った以上、身命を賭して「国家国民のために何を為すべきか」を考え、行動して頂きたいと思うのです。
 
 いま自民党は衆参両院で圧倒的多数を擁し、憲法改正を視野に入れることが可能になりました。しかし、党内において自由闊達な議論が行われているとは、残念ながら思えません。空気が淀み、不満が徐々に鬱積していると感じているのは、私だけではないでしょう。

 自民党は結党以来、重要政策の立案・実行に当っては、自由闊達・談論風発、時には百家争鳴の議論を繰り返してきました。そこに政権党としての存在意義があるというものです。一強他弱であればこそ、自民党内における活発な議論は絶対的な必要条件なのです。

 党の要の幹事長には、是非とも国民各層の意見を充分に反映できる活発な議論が党内で行われる土壌を作っていただきたい。
 圧倒的多数を擁すればこそ、自民党内での自由闊達な議論が必要なのだ、と私は敢えて申し上げたい。二階さんにそうした百家争鳴の議論をまとめ上げる度量と力量のあることは、誰しもが認めるところです。二階幹事長には、是非とも、自民党活性化のリーダーシップをとっていただきたいのです。

 二階幹事長に老婆心ながら、五代目菊五郎と明恵上人の言葉を贈りたいと思います。

 明治初期の歌舞伎の名優、五代目尾上菊五郎は「ぶらずに、らしゅうせよ」と言って、常に六代目を諭したそうです。

 また、二階さんと同じ紀州生まれの高僧明恵上人は「あるべきようは」の七文字を鎌倉幕府の執権北条泰時に贈ったそうです。「あるべきようは」とは「人生のどんな場面においても、あるべきようにあろうとすればよい。振る舞うべきように振る舞えば、何をしても構わない」ということなのだと、私は思います。
 
 それを見事に実践したのが太閤殿下です。秀吉は、草履取りは草履取り、足軽は足軽、分に応じて「あるべきようを、あるべきように」生きて、ついに天下人になったのです。

 二階幹事長に大いに期待したいと思います。

 ● 内閣改造で感じた安倍政治の劣化ぶり

 
 さて、新しい内閣の顔ぶれをみて、私はいくつかの感想をもちました。
 これまで、安倍総理は、戦後レジームからの脱却、アベノミクス、憲法改正など大きな政策課題に正面から取り組み積極的姿勢を打ち出してきました。

 今回の組閣後の記者会見で、安倍総理は「新内閣の最大の使命は、未来に向かって挑戦、挑戦、挑戦あるのみ。この内閣は『未来チャレンジ内閣』だ」と仰いました。

 しかし、改造内閣の顔触れを見る限り、主要閣僚はほぼ留任。先の参院選で落選した二つのポストを埋める他、自らの側近議員を閣僚ポストに就けただけです。「未来チャレンジ内閣」ではなく、「専守防衛・守備固め内閣」と言わざるを得ません。

 私が強調したいのは、北朝鮮による拉致問題をどうするのかという、言わば安倍政権のレーゾンデートルの問題です。

 そもそも、安倍総理が国民的な評価を得たのは、小泉純一郎内閣の官房副長官として拉致問題に毅然として対応したからです。
 「拉致被害者全員の帰国を必ず実現する」との安倍総理の約束を、国民はみな脳裏に刻みこんでいます。にもかかわらず、拉致問題を軽視するような布陣は、実に理解に苦しむところです。安倍内閣成立後、一人の日本人も取り戻せていないのです。

 今回の改造で、拉致問題担当相を加藤勝信一億総活躍担当相の兼務のままとしました。加藤さんは、新たに設けられた働き方改革担当相という目玉ポストも兼務しています。こうした重責を担う加藤さんに拉致問題担当相の仕事に全力投球しろといってもできるはずはありません。

 安倍総理! 拉致被害者と家族の皆さんの悲痛な叫びを決して忘れてはなりません。オリンピック担当相を置くより、まずは専任の拉致問題担当相を置くべきだと私は思います。

 最後に安倍総理に申し上げたい。憲法改正問題です。

 総理は記者会見で、九月召集の臨時国会で憲法改正の論議を進めるため、憲法審査会での論議を積極的に行っていきたいと明言されました。ならば、現憲法のどこを、どのように改正するのかを国民に明らかにする必要があります。

 先の参院選で、安倍総理は敢えて憲法改正に関する論議を避け、街頭演説でも憲法改正にはほとんど触れることはありませんでした。

 自民党が自主憲法制定を揚げて結党してから今年で六十一年が経過しました。憲法改正には国民的議論が不可欠です。国民に対して憲法の条文のどこを、どのように変えるかを明らかにしなければなりません。

 自民党内には「お試し改憲」など不謹慎とも思える議論が横行しているようです。安倍総理が不退転の決意で「憲法改正」を実現させたいなら、側近の改憲論者 衛藤晟一さんを「憲法改正担当相」として入閣させるなど、国民に対して正面から堂々と決意を形で示して披瀝すべきだったと、私は思います。

今回の改造人事を見る限り、安倍総理の改憲への決意はまだ固まっていない、と私は考えます。皆様は如何お考えでしょうか。
                                
感謝合掌

カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>