村上正邦の不惜身命その149

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● 英国のEU離脱は他人事ではない


  英国のEUからの離脱が決まりました。
  事前の世論調査では、残留派と離脱派が拮抗し,投票日直前には残留派がやや盛り返し、結局は残留派が僅差で勝つだろうと、キャメロン首相も世界各国も楽観視していたようです。私もそう考えていました。しかし、結果は100万票以上の差で離脱派が勝利したのです。
 まさに青天の霹靂です。衝撃が世界を走りました。
 この英国民の選択は、冷戦後に加速したグローバル化に対する「抵抗」の明確な意思表示だと考えていいと思います。

 英国のフィナンシャルタイムスは「保守主義と政治的安定で知られてきた国が、暗闇に向かって飛び降りたのだ」と、その驚きを伝えています。
 
 ここで私が言いたいのは、「暗闇に向かって飛び降りる」決断をしたのは、英国民自身だということです。つまり、英国民は急増する移民や疲弊する地域社会への不安が、経済的利益よりも大切だと考えたのです。
 離脱が決定した後、残留派・離脱派の双方から「再投票すべし」との声が出ています。
 しかし、「後悔先に立たず」の諺があるように、それは不可能なのです。

こうした動きは英国だけに止まりません。欧州各地では反EU勢力が英国同様の国民投票を目指すと相次いで表明しています。戦後60年以上にわたる欧州統合は大きく揺さぶられています。
これは、経済問題に止まることなく、第2次世界大戦以後の国際秩序を衝き壊す大変動時代の予兆と言っていいと思います。
デンマークやオランダなどではEU残留・離脱を問う国民投票を求める声が高まってくると伝えられています。フランスで伸張する極右政党国民戦線のルペン党首も国民投票を提唱しています。こうして離脱ドミノが現実に欧州を覆おうとしています。
 
 世界はいまや、「統合」から「分離・離脱」と全く正反対のベクトルが動き始めているのだと痛感します。
 後世の歴史家が、6月23日は戦後の世界秩序の崩壊が始まった日として、記録することになるかもしれません。
 
 国民投票で敗北した英国保守党党首のキャメロン首相は「国を次の目的地へと舵取りする船長として相応しくない思う」と述べて、辞任を表明しました。
しかし、英国のEU離脱は、英国国内だけに止まらないのです。
 EUという「超国家組織」が、EU参加国に対し、規制緩和や歳出削減などの注文をつけています。これらの国々は「もういい加減にしろ! 国のことは、その国民が決めるべきだ」との不満が拡がっています。

 米国でも孤立主義の共和党トランプ氏が共和党の大統領候補になり、今後の展開次第では民主党のクリントン候補に勝利する可能性があります。
 トランプ氏の発言にも耳を傾けるべきものはあると思いますが、仮にトランプ大統領誕生という事態になれば、これまでの世界秩序は完全に崩壊し、対米依存の我が国には直ちに影響が及んできます。
 私がトランプ大統領の誕生を危惧する所以です。

 実は、我が国でも同じ問題があります。沖縄問題です。

 何回かこのブログでも書きましたが、日本の安全保障は沖縄の多大な犠牲の上に成り立っています。奇しくも英国のEU離脱を決めた国民投票が行われたのは、71年前に沖縄戦が終わった慰霊の日だったのです。
沖縄県民の声を一切聞かず、辺野古新基地建設を強行する安倍政権に対して、沖縄の人たちの間には「沖縄独立論」が燻っているとも聞きます。一部には「酒屋独立論」と揶揄する人もいますが、決してそうではありません。

 共同体からの離脱の契機は欧州だけではなく、我が日本国内にもあるのです。この事実から目を背けてはならないと思います。
 沖縄戦終結直前、海軍の大田実中将は「沖縄県民斯く戦えり 後世特別のご高配を賜らんことを」と最期の電報を送り、自決されました。その大田中将の遺児2人が今月初旬、辺野古を訪れ、反対派住民に「平和のために頑張っている皆さんを見て、父も喜んでいると思います」と語ったと、新聞は報じています。

 戦後70年余、我が国は米国の従属化におかれてきました。米国製の「日本国憲法」という名の占領基本法を押し戴き、沖縄を米軍基地として提供し、治外法権を許しているのが、私たちの直面している偽らざる現実なのです。
 
 今回の英国のEU離脱は、私たち日本人が考えるべき、いや、考えねばならぬ問題を明らかにしたのです。私はそう考えます。

 付け加えて言うならば、キャメロン首相の出処進退についてです。
 国民投票で敗北直後、「国を次の目的地へと舵取りする船長としては、自分は相応しくない」と、即座に辞任を表明しました。自ら蒔いた種ですが、首相の座に恋々とすることなく、辞任を表明したことを私は評価したいと思います。  

 2年前の平成26年11月、安倍総理は消費税10%増税を延期した際、次のように断言したのです。
 「再び増税を延期することはない。ここで皆さんにはっきりと断言します」
 その安倍総理が今年6月の国会会期末に再延期を表明したのです。
 なんと総理の言葉の軽いことよ! 
 
 私は、キャメロン首相の出処進退と併せ考え、残念な思いを払拭することができません。

 ●「安倍一強」を追認する参院選でいいのか

 参議院選挙について申し上げたい。6月1日の新聞各紙の朝刊は、参院選の序盤情勢を一斉に報じました。いずれも似たような結果で、与党は改選過半数を上回る見通しでした。特に自民党は、単独過半数を占めそうな勢いです。
 私が長年身を置いた参議院自民党が優勢に戦いを進めていることは、心情的には喜ばしいことですが、同時に、いささか危うさを感じざるを得ません。

 なぜか。
 公示翌日の6月23日の読売新聞朝刊で、同紙の前木理一郎政治部長が署名記事で「『安倍一強』継続か否か」が争点だと論じていました。
 その通りです。そうであればこそ、私はいささかの危惧を覚えているのです。

 私は本コラムでしばしば論じてきましたが、安倍晋三首相は保守政治家らしからぬところがあるのです。
 消費税増税の延期を、通常国会閉会日にわざわざ表明し、国会での論戦から「逃げてしまった」こともその一つです。
 議会制民主主義の国の総理のやることとは思えません。議会で堂々と論戦を戦わせるべきでした。参議院で与党が圧勝すれば、結局、国会論戦に緊張感がなくなってしまうことは、火を見るより明らかです。
 しかも、安倍総理の強引な政治手法に拍車がかかってしまい、国民の政治に対する信頼そのものを損なってしまいます。このことを肝に銘じていただきたい。

 甘利明前経済再生担当相の不起訴処分が発表されたのも、国会閉幕直前でした。600万円の金銭を受けとり、URへの働きかけ、「斡旋利得処罰法違反」に問われるべき事案が不起訴、しかも甘利氏本人は担当相辞任後は「睡眠障害」と称して、国会から姿を晦まし、国会での説明責任は全く果たさずじまいでした。
 安倍総理の盟友であり、日本経済の将来に決定的に影響を与えるTPP交渉を一手に引き受けてきた甘利氏だからこそ、安倍総理は甘利氏に対し、「事の真相を明らかにすべきだ」と忠告すべきではないのですか。
 
 安倍第1次政権は「お友だち内閣」と揶揄されましたが、甘利氏が安倍総理のお友だちだからと言って、不問に付すことがあってはなりません。
 国民の信頼こそが、政治の要諦であると、私は考えます。
 安倍総理、この問題に関しては、甘利氏に説明責任を果たすよう厳しく伝えるべきだと思います。

 健全な批判精神こそ、野党に求めらるものですが、最近の野党にはこの批判精神が欠如していると思います。
 
 ことに「政治と金」の問題についての追及が甘くなっています。野党が身内の議員にかんする金銭問題を与党に追及されると、一瞬にして意気を沮喪し、与党追及の手を緩めてしまいます。健全野党の名が泣くというものです。

 加えて、舛添東京都知事問題でも、与党自民党は2年前の知事選で舛添氏を推薦した手前、都議会での追及に手加減を加えていたことは、都民なら皆知っている事実です。安倍総理が自民党総裁として一言あって然るべきです。 

 合掌

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村上正邦の不惜身命その149 への1件のフィードバック

  1. 篠澤道治 のコメント:

    中絶反対運動をがんばってください。応援しています。

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