村上正邦の不惜身命その148

 ありがとうございます
 関東地方も梅雨に入り、鬱陶しい天気が続いていますが、最近の世情も実に鬱陶しいことばかりです。
 東京都の舛添知事が政治資金の公私混同問題、東京五輪をめぐる金銭疑惑、さらに甘利明前経済再生担当相の金銭疑惑で東京地検が不起訴処分にした問題など、鬱陶しい梅雨の時期に実にうんざりさせられます。

 ● 政治家にとって出処進退こそが大切だ

 東京都の舛添知事が政治資金をめぐる公私混同問題の責任をとって、去る15日、都議会議長に辞表を提出しました。今年3月、大名旅行を思わせる豪華な海外出張が批判されたのが、事の始まりでした。この間、都政の停滞を招いただけでなく、任期途中で重責を投げ出すという、実にお粗末な退任劇でした。

 前任知事の猪瀬直樹氏に続いて、2代の知事が金銭に関る不祥事で任期途中で辞任するなど、前代未聞のことです。政治家への信頼を失墜させたことの責任は、大袈裟に言えば、万死に値する重大な問題です。

 私はこの不祥事から、改めて政治家の出処進退ということを考えさせられました。
 出処進退とは自ら身の処し方を決断することです。出処とは乞われて登用されること、進退とは惜しまれながら、自ら決意して退任することです。出処は決断が容易ですが、進退を決することは難しい。多くの権力者の末路が哀れなのは、この盛者必衰の理を無視して、地位と権力に溺れるからです。

 この出処進退については、司馬遼太郎の『峠』で有名な幕末の長岡藩家老・河合継之助が、素晴らしい言葉を残しています。

「人というものが世にあるうち、もっとも大切なのは出処進退の四字でございます。そのうち進むと出ずるは人の助けを要さねばならないが、処ると退くは、人の力を借りずともよく、自分で出来るもの。拙者がいま大役を断ったのは退いて野におる、ということで自ら決すべきでござる。天地に恥ずるところなし」

 今回の舛添知事の出処進退は、自らの地位と権力に溺れたからですが、河合継之助の言ったように、「天地に恥ずるところなし」の心境に達している政治家が果たして何人いるでしょうか。

 舛添知事は辞任前に、政治資金の私的流用問題に関して元検事の2人の弁護士を選任して、調査を依頼しました。これを第3者委員と称し国民に示しました。その一人である佐々木善三弁護士は私がKSD事件で逮捕された際,東京地検特捜部にいた人物です。彼は記者会見で、予測どおり「支出は不適切だが、違法とはいえない」との判断結果を発表しました。まるでお粗末なテレビドラマを見るような茶番劇でした。こんな調査の依頼を唯々諾々と受けて、「無罪!」のお墨付きを与えるヤメ検の存在そのものが、司法への信頼を失墜させるのです。依頼する知事も、依頼を受けて調査する元検事も、お粗末としか言いようがありません。

 現役の政治家諸君に、舛添知事の轍を踏まぬよう、是非とも政治家としての誇りと矜持をもっていただきたいと思います。
 
 剣豪宮本武蔵は「心正からざれば、剣また正しからず」(吉川英治著「宮本武蔵」より)との名言を残しました。
 政治家諸君が、自らの心に刻んで欲しい言葉です。

 ● 東京五輪は返上すべし!

 舛添知事が成功を約束した東京五輪は、知事の辞職でさらなる混乱に陥ることは必定です。
 
 東京五輪は新国立競技場の建設計画や大会エンブレムが白紙撤回され、加えて招致委員会において2億3千万円の裏金問題が浮上しました。
 この金銭スキャンダルは日本の名誉を著しく傷つけました。今の五輪はカネまみれになっていることは、国民周知の事実です。この際、日本が五輪を返上することで、カネまみれになっている、世界の、そして日本のスポーツ界の大掃除をする契機にすべきです。

 新聞報道によれば、東京五輪招致のための総経費は88億4900万円、このうち40億9800万円が国際招致活動費用で、7億8600万円が海外コンサルタント費用となっているとのことです。現段階で、フランス検察が把握しているのは2億3000万円の買収費用ですが、この他の金額については不明です。

 つまり、今回の東京五輪は「汚いカネ」で買い取ったものです。
 竹田恒和JOC会長は、電通の言いなりになって、いかがわしいペーパーカンパニーに2億円余のコンサルタント料を支払ったと、国会で証言しています。しかも、この会社は雲散霧消して、今は存在していないというではありませんか。

 そもそも今回の東京五輪費用は、立候補の段階では7340億円とされていましたが、五輪組織委員会の森喜朗会長は昨年7月に「総経費は2兆円を超すかもしれない」と述べています。いつの間にか膨れ上がった五輪開催費用に、私たちの「血税」が投入されるのです。

 森会長や竹田恒和JOC会長は即刻、辞任すべきですが、その前に莫大な五輪開催費用の中身を国民に明らかにしなければなりません。

 ここにきて、東京五輪組織委員会はメインスタジアムとなる新国立競技場の観客席のいすを木製にするよう政府に改めて申し入れたと、新聞各紙は伝えています。報道によれば、 6万8000席で20億円程度を見込むプラスチック製のいすを木製にすると費用は2~3倍に膨らむ見通しで、調達に30カ月以上かかり、維持管理費も完成後50年間で数百億円の増加が見込まれると報じられています。
 東京五輪関係者は国民の「血税」を何と心得ているのか、怒り心頭に達する思いです。

 5年前の東日本大震災で福島第一原発事故が起き、現在も1万人以上の方々が避難を余儀なくされ、政府や自治体は、被災者に寄り添う十分な対応策を講じていません。最近の熊本地震も同様です。復旧は遅々として進まず、車中で避難生活を続ける人がまだ多数おられるのです。
 五輪招致に不透明な、汚いカネを使うなら、こうした人々にこそ使うべきではないでしょうか。

 私は、最早、東京五輪を潔く返上すべきだと考えます。
 そもそも、世界中で五輪は、カネまみれになっています。東京五輪返上で、日本から世界のスポーツ界の大掃除へとつなげていくべきです。
 
 こうした金銭にまつわる国際的不祥事、ハッきり言えば、五輪をめぐる汚職事件が発覚した以上、一旦、近代五輪は中止すべきでしょう。近代五輪の原点に戻って、第1回大会が開かれたギリシャのアテネで永久的に開催することを私は提案したいと思います。五輪開催費用は驚くほど安くなり、カネまみれの五輪の現状を一気に解決する妙案だと思うのですが、みなさんはどうお考えでしょうか。
 問題が起き、解決困難に陥った時には、原点に戻ることが大切なのです。

 昨今、五輪はもちろん各種スポーツが経済効果で評価されるようになっていますスポーツを金儲けの手段、対象にしてはなりません。金儲けを伴わない健全なスポーツの復権を実現すべきです。
 
 スポーツに政治力が介入してはいけません。政治力がかかわるとスポーツ界の健全な育成に必ず弊害となってまいります。
 とくに森東京五輪組織委員会会長は、多くのスポーツ団体に会長や顧問として政治家を送り込んでいるといわれ、このことがさまざまな弊害をもたらして諸悪の根源になっております。

 ● 甘利明前経済再生担当相は、国会で国民への説明責任を果たし、議員辞職をすべきだ


 安倍総理の盟友と言われた甘利明前経済再生担当大臣は、UR絡みのあっせん利得罪が疑われていました。しかし、国会閉会直前に検察当局から、元秘書ともども不起訴処分となりました。

 すると、その直後に、長く国会を休む理由にしていた「睡眠障害」が治ったとして、政治活動を再開したのです。疑惑をそのままにして、議員活動再会など決して許されるものではありません。
 
 医師の資格をもつ小池晃共産党書記局長が「睡眠障害がこんなに都合良く治る人は見たことがない」と述べていますが、実に不可思議なことです。
 
 あれだけの疑惑を持たれ閣僚辞任に追い込まれ、環太平洋経済連携協定(TPP)の協定案などの国会審議を停滞させたのですから、議会人として国会の場で説明をする責任が甘利氏にはあります。
 野党は閉会中であっても、甘利氏の喚問や参考人招致を求めていますが、実現していません。ここは、甘利さん自らが、与野党に対して、喚問なり参考人招致なりに応じることを伝え、国会の場で説明責任を果たすべきなのです。

 私は、冤罪だったとはいえ、「KSD事件」で疑いを持たれた以上、議会人の責務を果たさなければならないと考え、証人喚問に応じ、議員辞職を決断したのです。甘利氏は、遅きに失した感はありますが、国会と国民に対する責務を果たさなければならないのです。
 今回の問題は、あっせん利得所処罰法が適用されてもおかしくない事案です。もし検察が、安倍総理の盟友だからとして手加減したとしたら、それは決して許されることではありません。

 安倍政権にとって、有力閣僚の政治とカネの問題は痛いところかもしれませんが、司法が政治に踏みにじられたり、議会人であるにもかかわらず疑惑を持たれた当人が国会において説明責任を果たさないとすれば、それは、日本の政治、司法に対する国民の信頼を失わせるものとなります。一内閣の評判よりも、国民の政治、司法に対する信頼を保つことのほうが、はるかに重い事柄ではないでしょうか。

 その点で、安倍総理は盟友である甘利氏に、「国会に出て国民に説明すべきだ」と、なぜ諭さないのか。仮に甘利氏が無実だと安倍総理が確信しているのであれば、リリーフに立った石原伸晃現経済再生担当相を説得して、甘利氏を経済再生担当大臣に復職させればいいのです。
 
 この問題は、甘利氏の説明責任が問われているだけでなく、安倍政権そのものが問われているのです。
 今のままでは、甘利氏の政治家としての復権は国民は許さない、いや、許すべきではないと私は思います。

 ● 世界はいま混迷の時代を迎えようとしている

 米国大統領選の共和党候補はドナルド・トランプ氏に決まりましたが、仮に彼が大統領に就任すれば、世界情勢は一気に流動化し、世界が混迷に陥る可能性は否定できません。また、英国のEU離脱が現実のものとなれば、ヨーロッパは統合から、分離の方向へ進むことになるでしょう。

 加えて、中国の動向から目を離せません。低迷を続ける中国経済は一気にバブル崩壊という事態になれば、世界経済は大混乱に陥ることは必定です。また中国の東、南シナ海における軍事的攻勢が我が国をはじめ周辺諸国に大きな緊張をもたらしています。

 こうした混迷の時代を前にして、政治家はもちろんマスコミ関係者も、世界に大きく目を開き、来るべき混迷の時代に我が国は如何に対処すべきかを真摯に議論すべきではないでしょうか。

 言い古されていますが、私は改めて次の言葉を想い起します。

 「信なくば立たず」

 鬱陶しい梅雨はまだまだ続きそうです。最近、こんな句を詠みました。

   照り還る梅雨の晴れ間の暑さかな

   鉢植えや繁る草木梅雨もとめ

 合掌
  

 日本の司法を正す会ご案内

 日時   平成28年6月28日(火)
      午後2時より

 場所   村上正邦事務所
      千代田区永田町2-9-8 パレロワイヤル永田町203号室
      TEL:03-3500-2200

 講師   弁護士 堀田力 氏 

 議題  「前経済再生担当大臣 甘利明氏問題について」

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